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神戸家庭裁判所姫路支部 昭和36年(家イ)14号 命令

申立人 村川明雄(仮名)

相手方 山本スエ子(仮名)

主文

申立人は亡二男村川幸二の死亡見舞金として○○電力株式会社から受領した金四〇〇、〇〇〇円を直ちに株式会社○○銀行姫路支店の普通預金口座え預け入れること。

申立人及び相手方は本件調停手続終了に至るまで上記預金を引出し又は、その権利を他に処分してはならない。

利害関係人は、本件調停手続終了に至るまで上記予金の支払をしてはならない。

申立人及び相手方においてこの措置に従わないときは家事審判法第二八条により五、〇〇〇円以下の過料に処せられる。

(家事審判官 坂東治)

申立の実情

申立人と相手方とは昭和八年一月二十五日婚姻届出をして以来昭和三十四年十一月二十五日協議離婚をするまで夫婦であつたところ、同人間の次男幸二が昭和三十五年三月三日勤務先のテレビアンテナ架設中に○○電力株式会社の高圧線にふれて即死した。死亡に際して、葬式は勿論将来の祭祀も申立人において行うことになつて居り、上記会社より死亡見舞金として、四〇〇、〇〇〇円支払われることになつたが、相手方より分配方を強調するので上記会社も困惑し、その支払いが出来ない状態にあるため家庭裁判所において、分配の調停をして貰いたいと申立に及んだものである。

(仮の措置をとつた理由)

本件は死亡見舞金を受領した本人からの申立にかかり、金員の保管について占有者(申立人)に悪意が考えられたわけではない。しかし、たまたま係争見舞金が第一回調停期日前に当事者の一方に支払われたため紛争が激化するきざしが認められることと、第三者の不当介入のおそれもあることから、当事者双方の利益ひいて調停手続の円滑な進行を考慮して、仮の措置をとつたものである。

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